資料室 ・ 早見表
エネルギー価格指標の早見表
JKM・TTF・ヘンリーハブ・JCC・原油・為替。市況ニュースの「あの指標」を、どう読むかで整理する。
日本のガス調達コストは、一つの価格では決まりません。アジアのスポット(JKM)、欧州(TTF)・米国(ヘンリーハブ)との綱引き、原油連動の長期契約(JCC)、そして為替——複数の指標が別々の理由で動き、その合成として決まります。 この表は相場の数字ではなく「それぞれの指標を、どう読むか」を資産化したものです。実際の値は変化が速いため、必ず出典の最新レポートで確認してください。市況の全体像は第11章(LNG市場)へ。
| 指標 | 何の価格か | どこの市場か | どう動くか | 日本のガス業界への効き方 | どこで確認するか |
|---|---|---|---|---|---|
| JKM Japan Korea Marker|ドル/MMBtu | 北東アジア(日本・韓国)着のLNGスポット取引価格 | アジアのスポット市場(価格評価会社がアセスメント) | 足元の需給で日々変動。夏冬の需要・在庫水準・突発的な供給トラブルに敏感 | スポット調達分に直結。長期契約中心の日本でも「市況の体温計」として最重要。急騰時は調達コストと料金への転嫁圧力に | JOGMEC 天然ガス・LNG週次/月次レポート |
| TTF Title Transfer Facility|ユーロ/MWh | 欧州(オランダ)の天然ガス取引価格。欧州市況の代表指標 | 欧州のガスハブ(パイプライン網の取引拠点) | 欧州の需給・ロシア供給の動向・域内在庫で変動 | 欧州が高いとLNG船が欧州へ向かい、アジアの需給が締まる。JKMと綱引きの関係——欧州市況は他人事ではない | JOGMEC レポート/欧州取引所公表値 |
| ヘンリーハブ Henry Hub|ドル/MMBtu | 米国の天然ガス価格。米国産LNGの原料コストの基準 | 米国ルイジアナ州のパイプライン集積点 | 米国内の生産量(シェール)と国内需要で変動。世界市況とは独立に動くことも | 米国産LNGの契約はヘンリーハブ連動が多い。調達ポートフォリオの分散先として、アジア・欧州市況との「連動しにくさ」に価値 | JOGMEC レポート/米エネルギー情報局(EIA) |
| JCC Japan Crude Cocktail|ドル/バレル | 日本に輸入される原油の平均価格(通称ジャパン・クルード・カクテル) | 日本の通関統計から算出 | 国際原油価格(ブレント等)に数か月遅れて連動 | 日本のLNG長期契約の多くが原油価格(JCC)連動。つまりガスの調達コストは、ガスの市況だけでなく原油の市況でも動く | 財務省 貿易統計/JOGMEC レポート |
| 原油(ブレント/WTI) Brent / WTI|ドル/バレル | 国際原油の代表指標(ブレント=欧州系、WTI=米国系) | 国際商品市場(先物取引) | OPECプラスの生産方針・世界景気・地政学リスクで変動 | 数か月遅れでJCCに反映→原油連動のLNG長期契約価格に波及。「原油のニュースはガスのニュース」でもある | JOGMEC レポート/主要経済メディア |
| 為替(ドル円) USD/JPY | 円とドルの交換レート | 外国為替市場 | 日米金利差・経常収支・リスク環境などで変動 | LNGはドル建て取引が基本のため、円安はそれだけで調達コスト増。燃料市況が動かなくても、為替だけで原料費調整は動く | 日本銀行/原料費調整の各社公表資料 |
読み方のメモ
- 「ガスの値段」は4層構造——スポット市況(JKM)× 他地域との綱引き(TTF/HH)× 長期契約の原油連動(JCC)× 為替。ニュースがどの層の話かを最初に見分ける。
- JKMが下がっても料金がすぐ下がらないのは、調達の主力が長期契約(原油連動・数か月遅れ)で、料金反映にも原料費調整のタイムラグがあるため。
- 欧州の寒波・米国のシェール動向・中東情勢・日銀の金融政策——一見バラバラのニュースが、全部この表のどこかを通って日本のガス代につながっている。
出典・参考:JOGMEC「天然ガス・LNG関連情報」週次・月次レポート(jogmec.go.jp)/資源エネルギー庁(enecho.meti.go.jp)/財務省 貿易統計(customs.go.jp)。 本表は指標の性質の整理を目的とし、相場の数値・見通しは掲載しません。投資判断のための情報ではありません。