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技術・脱炭素シリーズ 4/6 第18章

CCUS

CO₂を回収し、貯めて、使う技術

読了目安 約6分|更新 2026.07.12

脱炭素の技術のなかで、水素や合成メタンが「クリーンなエネルギーをつくる」側だとすれば、CCUSは「出てしまったCO₂を後始末する」側の技術です。地味ですが、カーボンニュートラルの実現には欠かせないピースであり、合成メタンの原料調達とも深くつながっています。この章で位置づけを整理します。

CCUSとは何か

CCUSは、Carbon Capture, Utilization and Storage——CO₂の回収・利用・貯留の頭文字です。3つの要素に分けられます。

  • 回収(Capture):火力発電所や工場の排ガスから、あるいは将来的には大気中から直接(DAC)、CO₂を集める
  • 利用(Utilization/CCU):回収したCO₂を原料として使う。たとえば合成メタンの材料にする
  • 貯留(Storage/CCS):回収したCO₂を地中の適した地層に閉じ込め、大気に出さないようにする

「排出をゼロにする」のではなく「出たものを処理する」——ここがCCUSの本質です。だから、どうしても排出が残ってしまう領域の「後始末役」として位置づけられます。

なぜCCUSが必要なのか

カーボンニュートラルとはで見たとおり、CNは「排出 − 吸収・除去 = ゼロ」を目指します。しかし、どんなに努力しても、排出を完全にゼロにできない領域が残ります。

  • 火力発電の残余排出
  • 製鉄・化学・セメントなど、構造的にCO₂が出る産業

こうした「減らしきれない排出」を差し引きゼロに近づけるために、CCUSで回収・貯留・利用する。つまりCCUSは、CNという方程式の「引き算」を担う技術なのです。これがなければ、多くの産業でネットゼロの達成が難しくなります。

合成メタンとの深い接続

ガス業界にとって、CCUSは特に重要な意味を持ちます。合成メタンの原料であるCO₂を、CCUSが供給するからです。

メタネーションの章で見たように、合成メタンは「CO₂+水素」からつくります。この材料となるCO₂を、工場の排ガスなどから回収する——ここがまさにCCUS(利用=CCU)の出番です。

  • 工場からCO₂を回収する(Capture)
  • そのCO₂で合成メタンをつくる(Utilization)
  • 合成メタンを燃やすとCO₂が出るが、それは「もともと回収した分」

この循環が、合成メタンを「実質ゼロ」と整理できる根拠(カーボンリサイクル)を支えています。CCUSと合成メタンは、別々の技術ではなく、ひとつながりの仕組みなのです。

課題:コストと「CO₂の帰属」

CCUSにも壁があります。

  • コストと立地:回収・輸送・貯留にはコストがかかる。貯留に適した地層の確保も課題
  • CO₂の帰属(カウント)ルール:あるCO₂削減を「回収した側」と「利用・貯留した側」のどちらの成果とするか。特に国際的にCO₂をやり取りする場合、制度設計が追いつかないと投資判断が固まらない(→合成メタンの章でも触れた論点)

技術そのものより、コストと制度(ルール)をそろえられるかが勝負になる——この構図は、脱炭素技術に共通しています。

この章のまとめ

  • CCUS=CO₂の回収・利用・貯留。「排出ゼロ」でなく「出たものを後始末する」技術
  • CNの方程式の「引き算(吸収・除去)」を担う。減らしきれない残余排出の受け皿
  • 合成メタンの原料CO₂を供給する要でもあり、両者はひとつながりの仕組み
  • 壁は技術よりコスト・立地・CO₂の帰属ルール

出典・参考:資源エネルギー庁 CCUS関連資料(enecho.meti.go.jp)/JOGMEC(jogmec.go.jp)。関連用語:用語集の「CCUS」「合成メタン」「カーボンニュートラル(CN)」。