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読み解き 脱炭素 地図:脱炭素 2026年10月12日(月) 6:00

ガスを運ばずに、脱炭素の価値だけ運ぶ

資源エネルギー庁の実証事業に9社参画、燃料の環境価値を証書化

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資源エネルギー庁が進める実証事業に、ENEOSやNTTドコモなど9社が参画しました。燃料そのものと「脱炭素の価値」を切り分けて証書で取引する仕組みです。モノを運ばず、価値だけを証書で動かします。ガスそのものを替えていく、脱炭素の話です。

① いま、何が起きているのか

NTTドコモ、ENEOS、鹿島建設、清水建設、鶴見サンマリン、T2、東急建設、NIPPO、日本航空の9社は2026年10月8日、経済産業省資源エネルギー庁が実施する「令和8年度環境価値認証制度等整備事業」(次世代燃料の環境価値認証・移転制度構築検討に向けた実証事業)に参画すると発表しました。

  • 対象燃料は、ENEOSが輸入するHVO(水素化処理植物油、リニューアブルディーゼルとも呼ばれる)。既存燃料と比べ、ライフサイクル全体で60〜80%程度の脱炭素効果があるとされています
  • 仕組みは、次世代燃料が持つ「環境価値」を認証し、証書として燃料から切り離すこと。燃料そのものは環境価値を切り離した状態で消費され、需要家企業は燃料を直接使わなくても証書を購入できます
  • 次世代燃料専用の設備は不要とされています
  • ENEOSはHVOの輸入と証書の提供を担当。NTTドコモ、鹿島建設、清水建設、鶴見サンマリン、T2、東急建設、NIPPO、日本航空の8社に加え、トヨタ自動車を含む複数企業が需要家企業として証書の活用を検証します
  • 実施期間や証書の対象量など、規模に関する数値はリリースに記載されていません

出典:ENEOS「クリーン燃料証書制度実証事業への参画について」(2026年10月8日)

HVOと環境価値は、ここで分かれる ENEOS HVOを輸入 燃料と環境価値を分離 証書として認証 燃料(HVO) 誰かが普通に消費 環境価値証書 ドコモ・JAL等が購入 需要家企業は燃料を直接使わなくても証書を持てる
図:HVOと環境価値の分離(出典:ENEOS「クリーン燃料証書制度実証事業への参画について」)

② なぜ、これが重要なのか

これまでの脱炭素燃料は、「作った場所で使う」のが基本でした。HVOを使いたい企業は、HVOを実際に給油する必要がありました。今回の実証は、この前提を外します。燃料は誰かが普通の場所で普通に消費し、その燃料が生んだ「環境価値」だけを証書として別の場所・別の企業に移すことができます。

これは、合成メタン(e-メタン)の章で扱っている「ガスの中身を入れ替える」戦略とは別の道です。ガス管の中身そのものを変えなくても、脱炭素の実績を証書で確保できる仕組みが、燃料の世界に先行して実証段階に入ったことになります。ガス業界が掲げるクリーン燃料証書の考え方が、他の燃料分野で先に動き出した格好です。

③ だとすると、業界はこう動く

一つめは、「設備を変えずに脱炭素を買う」という選択肢が広がることです。 次世代燃料専用設備が不要という点が示す通り、需要家企業は自社の設備やインフラを変えずに、証書を購入するだけで脱炭素の実績を積めます。これは、将来e-メタンの証書が整った場合に、ガスの導管・機器を変えずに済む都市ガスの需要家にも同じ構図が当てはまる可能性があります。

二つめは、証書制度の運用課題が、HVOを通じて先に洗い出されることです。 今回参画する9社は、環境価値証書の活用に向けた検証を行うとともに、運用上の課題を検討する立場です。ここで見つかる課題は、後に続く他の次世代燃料の証書制度にも持ち越される可能性があります。

三つめは、需要家企業の顔ぶれが示す、証書の使われ方です。 通信、建設、航空という業種が並んでいます。自社の事業そのものを脱炭素化するのが難しい、あるいは時間がかかる業種が、証書を通じて排出削減の実績を確保しようとする動きとして読めます。

④ 自分の仕事では、どう考えるか

企画やマーケティングに関わる立場なら、「自社の脱炭素の実績」を説明するとき、それが自社の設備で実際に減らした分なのか、証書で購入した分なのかを区別して説明できるでしょうか。調達や購買に関わる立場なら、取引先から脱炭素の証明を求められたとき、証書という選択肢が存在すること自体を知っているかが、最初の分かれ道になります。

一度、自分の担当する業務や取引先とのやりとりの中で、「燃料そのもの」と「燃料が持つ環境価値」のどちらを指しているのか、その問いを自分に向けてみてはどうでしょうか。

まとめ(3行)

資源エネルギー庁の実証事業に、ENEOSやNTTドコモなど9社が参画しました。次世代燃料の環境価値を証書として燃料から切り離し、取引する仕組みです。 対象はENEOSが輸入するHVOで、通信・建設・航空など参画企業が証書の活用と運用上の課題を検証します。 設備を変えずに証書で脱炭素の実績を確保する仕組みは、将来のe-メタン証書にもつながる考え方です。

クリーン燃料証書の位置づけは、カーボンニュートラルの全体像の章でも整理しています。

この記事の一次資料(1)

  1. ENEOS「クリーン燃料証書制度実証事業への参画について」(2026年10月8日)

記事の数字・範囲を限る言葉・増減の向き・因果は、公開前に別のAIがこれらの資料の原文と照合しています(編集と検証のしかた)。正確な判断が必要なときは、原文をご確認ください。

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「燃料は普通に使い、脱炭素の価値だけを証書で買う」という仕組み、自分の仕事で聞いたことがありますか?

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