ガス会社から届く値上げの知らせ、というとガス料金を思いますが、今回京葉ガスが出したのは電気料金の見直し案内でした。送配電ネットワークの通行料が変わるためです。ガスを売る側、料金と需要の話です。
① いま、何が起きているのか
京葉ガスは2026年10月13日、電気料金プランの見直しを発表しました。対象は同社が提供するすべての低圧電気料金プランです。
理由は、同社の供給区域を管轄する一般送配電事業者が2026年11月1日に実施する、「託送供給等約款」に基づく託送料金単価の変更です。送配電ネットワークの利用料金が変わることを受け、京葉ガスもその分を電気料金に反映します。
出典:京葉ガス「電気料金の見直しについて」(2026年10月13日)
適用は2026年12月検針分からで、2026年11月の計量日以降に使った分が対象です。顧客側の手続きは不要です。標準的な家庭(契約電流30A、使用量260kWh/月、燃料費調整単価マイナス5.33円/kWh、再エネ賦課金単価4.18円/kWh)の試算では、現行9,309円/月が新料金9,561円/月となり、差額は252円/月です。
② なぜ、これが重要なのか
「託送料金」という同じ言葉が、昨日の記事と今日の記事で別のものを指しています。昨日はガスの導管を使う通行料にあたる託送料金で、導管のしくみの解説章で触れた通り、経済産業省の省令改正を経て原価算定の方法が変わる、という話でした。今日は電気の送配電ネットワークを使う通行料で、一般送配電事業者が自ら約款を変更し、電気の小売事業者はその変更を受けて自社の料金プランに反映する、という話です。規制の仕組みも、改定が反映されるまでの期間も異なります。
京葉ガスは都市ガス事業者ですが、電気も小売しています。ガスの託送料金と電気の託送料金、それぞれ別の制度・別のタイミングで動くコストを、同じ会社の中で両方抱えているということです。
③ だとすると、業界はこう動く
一つめは、電気を小売する都市ガス会社は、送配電事業者側の料金変更をそのまま自社の料金プランに反映する必要があることです。 顧客側の手続きは不要という案内の通り、これは個別の値上げ交渉ではなく、送配電側のコスト変動を機械的に乗せる仕組みです。
二つめは、ガス・電気を両方扱う会社の料金企画や広報は、別々の制度変更を別々のスケジュールで追う必要があることです。 今回の変更は10月13日の発表から12月検針分まで約2か月で反映されましたが、ガスの託送料金の原価算定方法の変更は、2026年度中をめどに省令改正等で実施される見通しであることが、昨日の資源エネルギー庁の資料からも読み取れます。動くタイミングが一致しない以上、どちらの話をしているかを混同しないことが必要になります。
三つめは、標準家庭での増額が252円/月と小さく見えても、総合エネルギー事業として電気を扱う会社が増えるほど、同種の反映作業や顧客対応が積み重なることです。 送配電事業者の託送料金は今後も見直され得るものであり、電気小売を手がける以上、この種の価格反映は繰り返し発生し得ます。
④ 自分の仕事では、どう考えるか
料金のお客さま対応や広報に関わる立場なら、顧客から「なぜ電気代が上がったのか」と聞かれたとき、それが自社の経営判断ではなく送配電事業者側の託送料金変更によるものだと、どこまで明確に説明できているでしょうか。企画や経営管理に関わる立場なら、自社がガスと電気を両方扱っているなら、それぞれの託送料金が別の制度・別のスケジュールで動いていることを、社内の誰がどう管理しているか——この問いに即答できるか、試してみてください。
まとめ(3行)
- 京葉ガスが10月13日、一般送配電事業者の託送料金変更(11月1日実施)を受け、低圧電気料金プランを見直すと発表した
- 標準家庭で月252円の増額、12月検針分から適用。顧客側の手続きは不要
- 電気の託送料金とガスの託送料金は別の制度・別のスケジュールで動くため、両方を扱う会社は両方を別々に管理する必要がある
この記事の一次資料(1)
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