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読み解き 制度・再編 地図:電力・新事業 2026年9月30日(水) 6:00

『次の電源』の設計図は、ガス会社が引く

北海道電力の次期LNG電源、基本設計はガス会社が受注

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北海道電力が、苫小牧・厚真地域に新しいLNG火力発電所を計画しています。その基本設計を受注したのは、電力会社自身ではなく東京ガスでした。脱炭素の電源を、ガス会社が設計する——そういう組み合わせが動き出しています。ガス管の外へ広げる、電力・新事業の話です。

① いま、何が起きているのか

東京ガスは2026年9月28日、北海道電力から苫小牧・厚真地域におけるLNG基地整備事業の基本設計業務を受注し、開始したと公表しました。リリースから確認できる内容は次のとおりです。

  • 大型の外航LNG船を受け入れられるLNG基地の構築を目指す
  • 北海道電力は、脱炭素化を見据えた「トランジション電源」として、次期LNG電源の設置を計画している。将来の電力需要増加と、電源の脱炭素化を両立させる狙いとしている
  • 基本設計では、設備構成・配置・建設工程・建設費の算定など、実現可能性調査を踏まえた具体的な検討を進める

出典:東京ガス「北海道電力の苫小牧・厚真地域におけるLNG基地整備に係る基本設計の受注・開始について」(2026年9月28日)

一方で、契約金額、基本設計にかかる期間、基地の完成予定時期は、いずれも記載がありません。

② なぜ、これが重要なのか

「トランジション電源」という言葉が指しているのは、再生可能エネルギーが増えるまでの間、天然ガスを使った火力で電力の脱炭素化と安定供給を両立させるという考え方です。電力会社にとってLNG火力は目的であっても、LNG基地そのものを設計・建設する専門性が、社内に十分あるとは限りません。大型の外航船を受け入れる基地は、荷役設備・貯蔵タンク・気化設備など、都市ガス事業者が長年扱ってきた分野です。

今回の構図は、電力会社が電源を作ろうとするとき、その入口にあたるLNG基地の設計を、ガス会社に発注するという形になっています。裏を返せば、ガス会社にとってLNGインフラの設計・建設能力そのものが、都市ガスの供給網の外でも売れる商品になっているということです。

③ だとすると、業界はこう動く

一つめは、受注機会の広がりです。 電力会社が脱炭素電源としてLNG火力を選ぶ動きが他にも広がれば、同じようにLNG基地の設計・建設を外部に発注する需要が生まれます。ガス会社にとっては、自社の導管網が届かない地域でも、設計・建設という機能だけを切り出して収益源にできる可能性があります(総合エネルギー化の考え方は総合エネルギー化へ)。

二つめは、電力会社側の選択です。 基本設計を外部に委ねるということは、そこで固まる設備構成・建設工程・建設費の見積もりが、その後の電源計画そのものを左右するということでもあります。設計を持つ側が、事実上の主導権の一部を握る形になります。

三つめは、この時点ではまだ「基本設計」でしかないことです。 LNG基地の整備は、基本設計の後に実施設計・建設・運転開始という段階を経ます。今回公表されたのは、その最初の一段だけです。

LNG基地整備は、まだ最初の一段 今回受注(2026年9月28日) 基本設計 実施設計 建設 運転開始 各段階の期間・費用は非公開
図:LNG基地整備の段階と、今回公表された範囲(出典:東京ガス プレスリリース・2026年9月28日)

そして、FIDや投資判断に相当する情報は、今回のリリースには含まれていません。基本設計の受注は、電源が実際に動く保証にはなりません。

④ 自分の仕事では、どう考えるか

LNG基地の設計・建設に関わる立場なら、このニュースは「都市ガスの需要地の外に、自分たちの専門性を売る仕事がある」という話として読めます。逆に、電力会社の発電計画に関わる立場なら、「電源の設計を外部に発注したとき、どこまでの主導権を手放すか」という問いが立ちます。自分の担当業務は、都市ガスの導管網の中だけで完結する仕事でしょうか。それとも、外に売れる技術や設計力を持っているでしょうか。

まとめ(3行)

  • 2026年9月28日、東京ガスは北海道電力から苫小牧・厚真地域のLNG基地整備事業の基本設計業務を受注し、開始したと公表した。目指すのは大型外航LNG船を受け入れられるLNG基地の構築
  • 北海道電力は、脱炭素化を見据えた「トランジション電源」として次期LNG電源の設置を計画しており、将来の電力需要増加と脱炭素化の両立を狙いとしている
  • 契約金額・基本設計の期間・基地の完成予定時期は非公表。基本設計は、実施設計・建設・運転開始の手前の最初の段階にすぎない

※ 筆者は都市ガス事業者に勤務しています。本記事は公表情報のみに基づく個人の見解です。

この記事の一次資料(1)

  1. 東京ガス「北海道電力の苫小牧・厚真地域におけるLNG基地整備に係る基本設計の受注・開始について」(2026年9月28日)

記事の数字・範囲を限る言葉・増減の向き・因果は、公開前に別のAIがこれらの資料の原文と照合しています(編集と検証のしかた)。正確な判断が必要なときは、原文をご確認ください。

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