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読み解き 市況・地政学 地図:調達・製造 2026年10月20日(火) 6:00

原油が上がると、ガス代も遅れて上がる

中東情勢による原油急騰が、LNG長期契約にも波及する構造

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原油価格が、1週間強で13ドル以上も動きました。背景は中東情勢の緊迫と、米国・イランの協議の行方です。動いているのは「原油」のニュースのはずなのに、巡り巡って日本の「ガス代」にも届きます。LNGを海外から買う、調達の話です。

① いま、何が起きているのか

JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)が2026年10月19日付で公表した原油市場レポートによれば、原油価格はこの1カ月あまり、中東情勢と米イラン協議の行方に揺さぶられ続けています。

出典:JOGMEC「原油市場他:米国とイランの協議進展への期待から下落するものの、イエメンのフーシ派武装勢力のサウジアラビアに対する攻撃拡大等により上昇する原油価格」(2026年10月19日)

レポートによると、9月下旬には米国とイランの協議進展が観測され、原油価格は9月25日に92.41ドル(前日終値比2.20ドル安)まで下落しました。一方、イエメンのフーシ派武装勢力によるサウジアラビアへの攻撃が10月に入って激化し、10月6〜7日・10日・11日にはリヤドのキング・ハリド国際空港などが攻撃を受け、死傷者も出たと報じられています(10月10日は少なくとも12人)。10月13日にはサヌアの油槽所への有志連合軍の攻撃を受け、フーシ派がリヤドへの報復を警告、同日サウジアラムコ本部も攻撃されたと報じられました。

この結果、原油価格は10月7日の88.28ドル(8月31日以来の安値)から、10月16日には101.41ドル(9月17日以来の高値)まで上昇。10月8〜16日の7取引日だけで合計13.13ドルの値上がりです。レポートは、対話進展の観測が下押し要因、攻撃再開の懸念が押し上げ要因となり、相場の方向感が出にくい展開が続いていると分析しています。

「原油」のニュースが「ガス代」に届く道筋 サウジ攻撃激化/米イラン協議停滞 中東情勢の緊迫(10月) 原油価格が乱高下 10/7 88.28ドル → 10/16 101.41ドル(+13.13) 原油価格に連動するLNG長期契約 伝統的な価格算定方式の一つ 日本のLNG調達コストに波及 契約の算定方式に応じて時間差あり 家庭・企業のガス代にも影響
図:「原油」のニュースが「ガス代」に届く道筋(出典:JOGMEC原油市場レポート、2026年10月19日)

② なぜ、これが重要なのか

ニュースで「原油価格」と「LNG価格」は別々に報じられます。読んでいる側も、原油は自動車や石油化学の話、LNGはガス・電気の話と、つい切り離して捉えがちです。

ところがLNG市場のしくみの解説章で触れている通り、LNGの長期契約では、価格を原油価格などに連動させる算定方式が伝統的に使われてきました。つまり、今回のようにサウジアラビアへの攻撃や米イラン協議の行方で原油価格が動くと、そのニュース自体にLNGやガスという言葉が一度も出てこなくても、日本が長期契約で買っているLNGの調達コストにも、巡り巡って影響が及ぶ構造があるということです。

③ だとすると、業界はこう動く

一つめは、「原油のニュース」を調達コストの先行情報として見る必要があることです。 JKMなどLNGのスポット価格指標だけでなく、中東情勢や産油国の動向を伝える原油市場のニュースも、自社の長期契約の算定方式によっては、調達コストに直結する情報になり得ます。

二つめは、連動の有無・方式は契約ごとに異なることです。 原油連動のほか、Henry Hub連動や独自の指数を使う契約もあり、どの指標にどれだけ連動しているかは会社・契約によって違います。「原油が上がった=自社のコストも同じだけ上がる」と単純化できるものではなく、自社がどの算定方式の契約をどの比率で持っているかを押さえて初めて、影響の大きさが見えてきます。

三つめは、レポート自身が方向感の見えにくい展開を見込んでいる通り、今回の値動きを一方向のトレンドと決めつけない姿勢です。 協議進展の観測で下がり、攻撃再開の懸念で上がる——綱引きが続いている段階であり、どちらかに断定した見通しを立てるのは時期尚早です。

④ 自分の仕事では、どう考えるか

原料費調整や需給管理、調達交渉に関わる仕事なら、自社が結んでいるLNGの長期契約が、どの指標にどう連動しているか、具体的な算定方式を説明できるでしょうか。直接の担当でなくても、次に原油の地政学ニュースを目にしたとき、それが自社のコストにいつ・どれだけ効いてくるのか、一度自分に問い直してみませんか。

まとめ(3行)

  • JOGMECによると、原油価格はサウジアラビアへの攻撃激化と米イラン協議の停滞を背景に、10月7日の88.28ドルから16日の101.41ドルまで、7取引日で13.13ドル上昇した
  • LNGの長期契約は原油価格に連動する算定方式が伝統的に使われており、原油のニュースはLNG調達コスト、ひいてはガス代にも巡り巡って波及する構造がある
  • 連動の有無・方式は契約ごとに異なり、原油の値動きがそのまま自社のコストに重なるとは限らない。自社の契約の算定方式を把握することが、市況ニュースを正しく読む土台になる

この記事の一次資料(1)

  1. JOGMEC「原油市場他:米国とイランの協議進展への期待から下落するものの、イエメンのフーシ派武装勢力のサウジアラビアに対する攻撃拡大等により上昇する原油価格」(2026年10月19日)

記事の数字・範囲を限る言葉・増減の向き・因果は、公開前に別のAIがこれらの資料の原文と照合しています(編集と検証のしかた)。正確な判断が必要なときは、原文をご確認ください。

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